あんた。

日常に溶け馴染む五感

遠退くあの夏の体温

 

 

何に悩んでいるのかわからないなあ

 

わからないなあ わからないなあ

 

 

 

いろんなものをゲットしちゃったし

いろんなものが手からすり抜けていった

 

 

 

ランドセルの色を選べなかったとか

もうどうでもいい

 

やりたい習い事をできなかったとか

もうどうでもいい

 

お年玉がもらえなかったとか

もうどうでもいい

 

ゲーム機をもっていなかったとか

もうどうでもいい

 

 

 

もうどうだっていい

 

 

 

あの頃 考えていたことも

 

不満も欲求も

 

怒りの要素も

 

もうどうだっていい

 

 

 

 

花札を教えてくれたあのおばあちゃんも

 

手話を教えてくれた聴覚障害のおばあさんも

 

百ます計算に付き合ってくれたあのお姉さんも

 

けん玉を教えてくれたあの大っ嫌いな大人も

 

内緒で飴玉をくれた園長先生も

 

 

 

 

ぜんぶぜんぶ どうだっていい

 

 

 

どうだってよかった

本当にどうだってよかった

 

 

 

どうでもいいんだ

 

 

 

 

いま、なんとだってなってる

 

なんとかやってんだ

 

なんとかやれてるんだよな

 

 

 

 

やれてんのかな

 

 

 

 

 

 

他人のたわいない一言で

嫌だったことを思い出した

 

 

 

忘れてた

 

今となっては重要なことでもない

 

 

けれど、それでも

本人の意思や

そうならなければなかった

あれとかそれを

他人の中で違う物語として

時が流れて積もっていた

こと目の当たりにして、

 

モヤっとした何かが

 

主の脳をぎゅっとさせた

 

 

 

 

嫌だったことを思い出した

 

 

 

でも、

それでも周りは優しかった

いまだからわかる

だから思い出せる今がある

 

 

 

先のことを考え

ワクワクしていたはずの未来

今では考えると

少し気分が悪くなる

 

 

それは不安があるから

 

 

不安などなく

キラキラした宝石のように

感じていた未来を迎えた、今

足元を見るのがすこし怖い

 

 

なんでもない日の

なんでもない時間の

なんの理由もない

ケーキとロウソクの灯

 

ゆらりゆら

漂う残り香が

励ましてくれる気がする

 

 

 

文集あった未来への主に宛てたことば

 

 

 

迷える道は迷えない

 

そして

 

迷える道があるという事は

 

幸せだということ

 

迷える道は大切にしろと

 

 

 

年を取るたびに

たくましい主の見方が増える

 

17歳の主も

8歳の主も

全ての主の未来図は違う色だった

 

でも全ての主が

今の主であって

最低で最高の見方だ

 

 

 

 

またひとつ

年を取るみたいだなあ

 

 

 

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